引き続き関連の見解を紹介する。
「(典範)増補第6条に『皇族ノ臣籍ニ入リタル者ハ皇族ニ復スルヲ得ス』と言えるをもって明白なるがごとく『祖宗ノ皇統』とは、単に家系的血統を意味するだけではなく、『皇族範囲内にある』という名分上の意味を包含しているのである。
しからざれば、わが国のごとき(源氏や平氏の子孫をはじめ皇室の血筋を引く国民が多くいる)皇胤国家においては、君臣の分を定めることが不可能に陥るであろう」(里見岸雄氏『天皇法の研究』昭和47年、原文は歴史的かな遣い、漢字を一部かなに改めた)
ネット上で一時、「神武天皇のY染色体」なるものが、さかんに持てはやされたことがある。
だが、わが国のように長い歴史の中で、皇室の血筋が広く国民の間に拡散している「皇胤国家」で、現に皇族でいらっしゃるのか否かという「名分」も抜きにそんな議論を振り回すと、「君臣の分を定めることが不可能」になってしまう。
(つづく)